リスボンで絶対外せない!ポルトガル独自の音楽「ファド」のライブが楽しめる名店5選
ポルトガル旅行に外せないファド鑑賞。ファドはポルトガル音楽の一種でリスボンの下町発祥の民族歌謡曲的存在ですが、もう少し流行歌に近いのかも?地元の人が集まるファドレストランでは大合唱になるほど、リスボンに根付き人々に愛される音楽です。ほとんどの店が8:00~2:00まで演奏しているので、夕食後のお楽しみに最適!
ポルトガルを代表する音楽「ファド」とは?
ポルトガル旅行の計画を立てる時「夜はポルトガルワインでも飲みつつ、リスボンの街で盛り上がりたいねぇ」・・・なんていう話になってくると思います。ポルトガルの首都・リスボンにはもちろんクラブやライブハウスがありますが「初めてのポルトガルでは若干ハードルが高い」とか「そもそも日本でクラブに行かない」なんて人も多いでしょう。
趣味も年齢も関係なく、誰でもポルトガル音楽で盛り上がれる・・・そんな場所が、ポルトガルを代表する音楽ファドのライブ演奏が楽しめるレストランやバー!リスボンには地元の人が足しげく通う密着型のファドレストランから観光客も一緒に楽しめる店まで、たくさんあります!
「ファド」の歴史とジャンル
ファドはポルトガルの「民族歌謡」と言われています。日本に置き換えると土着の民謡と、情念を歌った演歌のミックスのような・・・?とも例えられますが、日本のように「児童が歌うもの」「お年寄りが楽しむもの」というカテゴライズでも曲調でもありません。ところ変われば、例えがあてはまらないものですね。・・・難しい。こういう時はやはり百聞は一見に如かず、ではないでしょうか。
ファドのライブは気軽なパブから、高級ホテルやレストランまで、現在ではポルトガルのひとつの「文化」としてさまざまな場所で楽しめますが、もともとは貧しい人々が楽しむ大衆的な音楽でした。
リスボンの下町から発生したその音楽は、昔、リスボンの下町に住んでいた売春婦や船乗り、アフリカから来た奴隷、そして多くの失業者から生まれたのものです。元となるリズムやメロディは、ポルトガル領だったブラジルでアフリカ人奴隷が楽しんでいた音楽舞踊が元祖。そう考えるとルーツや背景はアメリカのジャズやブルースに似た面があるのかもしれません。
リスボンの下町で発祥した「ファド」
その後、さらに他の音楽ジャンルのアレンジが加わり、徐々にアフリカ系奴隷が好んでいた打楽器の存在はなくなっていき、歌とギターのメロディが強調されるようになっていきます。
時代を超えて庶民に受け継がれ現在まで続く「ファド」。その言葉の意味は運命・宿命を指しています。人生の悲しみを歌う情緒的な歌詞に、悲哀に満ちた曲で聴かせるものもあれば、愛する人へのセレナーデ、愛する街の賞賛などの陽気な曲で、演奏者も観客も一斉に盛り上がるような曲も多々あります。
ファドはポルトカル人の「心」なのです。
ちなみに、リスボン発祥のファドですが、ポルトガル第3の都市、コインブラには変わったファドがあります。コインブラ・ファドと呼ばれるそれは、リスボンのファドとはかなり違い、コインブラ大学の男子学生が思いを募らせる女子学生に対する心情を歌い上げるもの。
したがって歌い手は全て男性です。
ポルトガル第3の都市「コインブラ」では男性学生の恋心がファドになる!
ファドレストランで美食とファドを楽しむ!
歴史とジャンルを学んだところで実際に行ってみましょう!
ファドの店は深夜まで営業している場合が多く、観光しているうちに夕食の時間が遅くなった・・・なんていう場合にも重宝します。
今回お邪魔したファドレストランは「Páteode Alfama(パティオ・デアルファマ)」のファド専門スペース「Fado em Si(ファド・エン・シ)」。
このお店は世界各国の旅行情報誌に紹介されているので、春・夏のピークシーズン(4月~10月)は、かなり混雑するので公式サイトから予約して行くのがベスト。冬のオフシーズンの平日は観客がいない場合があり、店自体もファド歌手のブッキングをせず、シェフも休憩することも。いずれにしても予約がベストということですね。
17世紀に建てられた屋敷を改装し造られたシアターレストランですが、ドレスアップするまでの堅い雰囲気ではありません。周囲は石畳の坂が続くので、女性は逆にヒール厳禁。
「Fado em Si」は17世紀建造の貴族の邸宅をファドのための場に改装
一軒家のお屋敷レストランながら気軽な雰囲気
特に店を調べず街を歩いていて「ファドのライブが見たい!」と思った場合、ファドを聴かせてくれる店には「カーザ・ド・ファド(Casa de Fado)」と書いてあります。「Fado em Si」もそうですがリスボンのアルファマ地区やバイロ・アルトに多く集まっているので、看板に注意を払ってみて。
「うちファドやってるよー!」の目印
確実に夕食を食べる場合は、サイト上からディナーのメニューを選んで予約を入れることもできます。お酒好きの筆者はワイン付ディナーの予約をしっかり入れておきました!
ワインを飲みつつオリーブやパンをつまみ、ポルトガルキャベツの入ったスープに癒され、メインは大きな魚のグリル!デザートにはこれまた大きなカスタードプディングと、食べきれないほどのボリューム。 ちなみにメニューにはボトル€20以内のワインも充実しているので、食後、ワインを飲みにファドライブに来てみるのも良いかもしれません!
ほっこり温まるポルトガルキャベツのスープ
魚のソテーにはたっぷりの野菜とガーリックが!
卵と砂糖の国、ポルトガルらしい濃厚で甘いカスタードプディング
ファドレストランの営業時間は夜から深夜。食事をとる場合はディナーになります。「Fado em Si」ではメインの料理を食べ終えたころ、ステージにファドの演奏者が現れました。他のファドレストランも、食事がひと段落した20:30~21:00頃から始まる店が多数を占めます。
歌い手がこやかに場内の観客に微笑みかけ挨拶した後、しばし歌い手と演奏者が観客の存在をわすれてしまったかのようにその場でおしゃべり(!)。どうやら即興で、集まっている観客の様子をみながら曲を決めるようです。
ポルトガル人の心の歌!などという前評判から身構えてステージを見ていましたが、絡み合う2つのギターの音色は意外なほど軽やかにリズムを刻みます。そして、シックな黒の衣装に、黒のストールを巻いた女性が、しっとりと堂々と歌い上げます。素晴らしい声量です。
演奏者と歌い手がその場の雰囲気で演目を決めることもある
ファド独自の演奏者構成と楽器に注目
歌い手・ファディスタ(Fadista)
ファドは基本的にトリオ(3人)。歌い手はファディスタ(Fadista)と呼ばれています。女性のファディスタの場合、黒いショールをまとってステージに立つ人が多いのが特徴。
この日の女性ファディスタはド迫力!
ポルトガル独自のギターを奏でるギターラ(Guitsrra)
ポルトガル独自の文化ともいえるファドを引き立てるのが「ギターラ(Guitsrra)」。丸くコロンとしたかわいらしいボディはイタリアのマンドリンや、日本の琵琶をほうふつとさせます。12弦ギターで複雑かつ深みのある音が出せるため、庶民の苦しみや女性の情念のような悲しい曲にも、軽快で明るい曲にも対応可能。ファド独自の複雑なメロディを生み出します。
ポルトガル独自の楽器「ポルトガルギター」
クラシックギターなのにヴィオラ(Viora)
世間一般で言うクラシックギターを奏でるのが「ヴィオラ(Viora)」。まるでバイオリンのような名前で困惑しますが、ギターラとの掛け合いやバランスがとても重要な位置。絡み合う旋律がファディスタの情感を引き出します。
この日のヴィオラは遊ぶように軽やかにギターをつま弾き場を盛り上げた
1組目の女性ファディストが歌った後、デザートが出され、食べ終える頃に2組目のファディストが登場。今度は男性でした。男性ファディストの服装もネクタイなしのジャケット着用といういで立ちが大半を占めるのだとか。
女性ファディストは女性の苦労や心情を悲哀いっぱいに歌うことが多いのに比較し、男性は女性への愛を歌い上げる明るい曲調のものが多く、ひと言で「ファド」と言っても演奏や雰囲気がガラリとかわるのがとても印象的でした。
イケメン登場に女性は皆うっとり・・・
カーザ・ド・ファド(Casa de Fado)の基本とマナー
ファドのライブ演奏がある店「カーザ・ド・ファド(Casa de Fado)」は、主にリスボンのアルファマ地区やバイロ・アルトに集中。リスボンは石畳の坂道が多いので、特に日が落ちた後の夜道で転ばぬように気を付けて!・・・筆者は転びました!
開催時間:ほとんどの店が21:00~1:00
ファドを聴きながら食事をした場合の料金相場:食事+ファド鑑賞料金で€50ほど。ただし食事内容や店の格により上下します。
食事なしでファドのみを鑑賞する場合:€10~20のミニマムチャージと、各自ドリンク代。マナーとして何も注文しないといのはやめておきましょう
高級店と庶民的店の違い:いずれも21:00ごろから3~4人のファディスタが数曲ずつ歌います。高級店の方が出演者の演奏レベルも高め。庶民的な店では地元リスボンの客が飛び入り参加し、誰がファディスタかわからなくなることも多数。その代わり店全体で大盛り上がりとなり、リスボンの夜を熱気と感動で締めくくることができる場合も。どちらも魅力的!
この2人、客席に女子がいると熱い視線を投げてきます。手を振ってあげましょう
リスボンでファドデビュー!ファドの名店5選
200年超えの建物や石畳の坂道が続くリスボン。歴史情緒あふれる街の光景を見ていたら、古くから伝わるファドを聴いて、ポルトガルの人々の「心」を知ってみたいもの。
最後に旅人が気軽にファドを楽しめる店とファドの名店をご紹介します。今回ファドの取材をさせてもらったお店も入っているので、気になる人はぜひ行ってみてくださいね!
お店の予約は泊まっているホテルの方にお願いすると、とてもスムーズです!
情緒的なファドの世界に酔いしれて!
今回ファドの魅力を取材させていただいたお店。多くの旅行情報誌で紹介されているだけに外国人に慣れていて、ファドデビューしやすい雰囲気。料理が美味しいので、ディナーがてら行くのがお勧め。高級感のある店ですが、石畳が荒い小路が多いアルファマ地区にあるので、女性はヒールのない靴で行くこと!料金・予約は公式サイトで確認を
◆住所:Rua Sao Joao da Praca 18, Lisbon
◆営業時間:19:30~1:00
◆公式サイト:Fado em Si
22:00までは食事とともにファドを楽しむ店ですが料理が絶品。オーナーはポルトガルでも有名なポルトガルギタリスト奏者マリオ・パシェーコさんということで、地元の人に大人気!22:00以降は€10のミニマムチャージとドリンク代で楽しめますが、ボトルワインがお手頃!アルファマ地区のファドの店が集まるエリアにあるため、店を間違えないように!
◆住所:Rua de Sao Joao da Praca 92 Alfama Lisboa
◆営業時間:20:00~2:00
◆公式サイト:Club de fado
「ファドの女王」として世界的に有名なアマリア・ロドリゲスが出演していた老舗のファドハウス。ファドレストランの中では高級レストランに数えられるため、料理の味やワインの品揃え、サービスの評価が高く安心して利用できます。ファド開演は20:30から。食事をする・しないも自由に選べるのがうれしいですが、ミニマムチャージは€17と高めの設定なので、クオリティの高いディナーをいただきつつ€44~50という食事利用の方がコストパフォーマンスは良いかも?
◆住所:R. do Norte nº 91, 1200-284 Lisboa
◆営業時間:17:00~2:00※早い時間は観客がいない場合あり。20:00頃着席がおすすめ
◆公式サイト:Adega Machado
ポルトガルで「19世紀最高峰のファドシンガー」と讃えられているマリア・セヴェーラから名付けられた店。他店が団体客も多い中、個人客が多く地元のノリや熱気が感じられます。ファド開始は遅めの21:00。食事付かドリンクのみかが選択できますが、ミニマムチャージが€30とかなり高いため、食事込みのチャージ€53の方がコストパフォーマンスが高いかと・・・。ちなみに食事のコースにはハーフボトルのワイン付(要確認)。
住所:R. das Gáveas 51, 1200-206 Lisboa
営業時間:20:00~2:00
公式サイト:A Severa
1967年にオープン。ファドの女王、アマリア・ロドリゲスが名付け親のファドレストラン。ブルーが美しいポルトガルタイル「アズレージョ」に彩られた店内は、昔のワインハウスを改装して造ったためとても広く、約230名が入店できるのだそう。人気店のため平日でも地元客や観光客でにぎわっています。
住所:R. da Rosa 219 221, 1200-408 Lisboa
営業時間:19:30~1:00
公式サイト:O Forcado
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最近のリスボンは、他国からやって来るスリ団の一味により、スリの被害が増えています。しかし、ヨーロッパの中では一番治安が良く、スリに気を付け、夜遅くひとりで危険なエリアと言われる場所を歩かなければ日本とそんなに変わらない過ごし方が可能です。
だからこそ、たまには夜遊びしたい!夜更かししたい!そんな時「ファド」で盛り上がりましょう!
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