バルセロナ芸術および建築と必見のガウディ作品群

カタルーニャの気風と芸術

9世紀、イスラム教徒がイベリア半島を支配していた時代、カタルーニャはイスラム教徒の版図ではなくフランク王国の領土の一部でした。その後、986年にバルセロナ伯国として独立しますが、15世紀にイベリア半島が統一されるとカタルーニャ地方も統一国家に組み込まれてしまいます。1714年にはスペイン継承戦争の敗北をきっかけに自治権も喪失。その後、再び自治権を取り戻せたのは1977年でした。

そのカタルーニャの中心都市であるバルセロナは、多くの芸術家を生み出してきた街です。現在のバルセロナを形作っている契機の一つとも言えるのが、19世後半のカタルーニャ・ルネッサンスと呼ばれる時期でした。当時のバルセロナでは、好調な経済を背景にカタルーニャ独自の文化を作ろうという動きが起きました。それは「モデルニスモ（近代主義）」というアール・ヌーボーと同様の曲線と華やかな装飾が特徴的な芸術運動を盛んにし、ガウディ、モンタネールなどによる建物が造られていったのです。

カタルーニャの中心都市バルセロナ

バルセロナのシンボル、サグラダ・ファミリア

バルセロナのガウディ建築といえば、真っ先に思い浮かぶのがサグラダ・ファミリアではないでしょうか。サグラダ・ファミリアは、サン・ホセ教会の聖堂として1882年に建設が始められました。

当初、サグラダ・ファミリアの建築はビリャールが担当していましたが、ビリャールは辞任。翌1883年にガウディに引き継がれ、ガウディは人生の後半生を教会建設に捧げていきました。完成した姿を見る前にガウディは亡くなり、建設は現在も引き続き行われています。生前ガウディが完成させた箇所は「生誕のファサード」と4本の鐘楼です。

その後は、ガウディ没後に建設されていった箇所です。かつては完成までに300年かかると言われていたサグラダ・ファミリアも、技術の進歩や建設費に充てられる教会への入場料の増収があり、ガウディ没後100年にあたる2026年に完成が予定されています。

サグラダ・ファミリアはバルセロナ観光のハイライトと言える場所ですので常に混み合っています。公式サイトから事前に日時指定のチケットを購入して訪れることをおすすめします。

サグラダ・ファミリア

グエル邸をはじめとするガウディ建築群

サグラダ・ファミリアと並びバルセロナで有名なガウディ関連の建築といえば、グエル邸とグエル公園。グエル邸は実業家グエルの依頼を受けて建てれられたもので、ガウディ初期の傑作です。

グエル公園はバルセロナ市街を見下ろす高台に建設された公園です。同公園は、当初住宅地として造成が予定されていました。しかし資金面の問題によりグエルは計画を中断。その後、公園として整備されました。元は住宅地として使われる予定だった公園内に、住宅は2戸だけ完成しています。その1戸はガウディの家として建てられたもので、現在はガウディの家博物館としてガウディの遺品やガウディがデザインした家具などが展示されています。

サグラダ・ファミリア同様にグエル公園、グエル邸はどちらも混み合います。こちらも訪問する予定が決まっている人は、事前に公式サイトから日時指定のチケットを購入することをおすすめします。

グエル邸

グエル公園

サグラダ・ファミリア聖堂、グエル邸、グエル公園を鑑賞して、さらに時間に余裕があれば見ておきたいのがカサ・バトリョとカサ・ミラでしょう。実業家バトリョがガウディに増改築を依頼して完成したのがカサ・バトリョ。海をテーマにしており、外壁に埋め込まれたガラスモザイクは海面の反射を、建物内部は海底を意識してデザインされています。そして実業家ミラの依頼を受けて建設されたのがカサ・ミラ。高級集合住宅として建てられ、石を積み上げたような形状が同建物の特徴的です。現在は最上階にガウディに関する資料を展示。建物内はアパートの一部および屋上テラスを見学できます。

カサ・バトリョ

カサ・ミラ