【ポルトガル旅行記】世界遺産シントラ一日観光モデルコース!天空の城ぺーナ宮殿にうっとり
ポルトガルの首都リスボンから電車で40分で到着するシントラは、町自体が世界遺産。特にぺーナ宮殿は天空の城と讃えられる美しさです。他にもムーア城跡、レガレイラ宮殿、シントラ宮殿など外せない観光スポットがいっぱい。シントラの観光スポットを1日で巡るモデルコースを組み実際に行ってきました。この旅行記が参考になれば幸いです。
町自体が世界遺産・天空の城がある都市シントラとは?
イギリスの詩人バイロンが「エデンの園」と称賛したシントラ。
ポルトガルの首都リスボンからわずか30kmの場所にある山あいの町です。7~8世紀、イベリア半島をイスラム教徒のムーア人が占領し、城を建設。1147年、初代ポルトガル王アルフォンソ1世が、ムーア人からシントラを奪還したことでポルトガル王国に併合され今に至ります。
そんな歴史背景からムーア人が建てた城壁後や、ジョアン1世が夏の離宮として建てた王宮、イスラム・ゴシック・マヌエル・ルネサンスなどの様々な建築様式で造られた、おもちゃを思わせるぺーナ宮殿など、小さな町の中にそれぞれの歴史を象徴する貴重な建造物が残り、独特な美観を生み出しています。
シントラはかねてより王族や貴族が避暑に訪れ、ヨーロピアンに知られたリゾート地でしたが、1995年、「シントラの文化的景観」としてユネスコの世界遺産に登録され、より多くの観光客が訪れるようになりました。
イスラム教徒のムーア人の遺した城跡の向こうにペーナ城
シントラへの行き方
シントラへはポルトガルの首都・リスボンのロシオ駅から鉄道で向かいます。ロシオ駅は「リスボンのへそ」と呼ばれる中心部「ロシオ広場」の目の前にあり、馬の蹄鉄を模したエントランスがとても美しい駅です。
日本の4分の1の大きさしかないポルトガルは鉄道旅行に最適
ロシオ駅からシントラ駅までは30分間隔で電車が出ているので、とても使いやすく、1本逃しても焦る必要はありません。もちろん筆者のように全観光スポットを制覇しようという人は焦ってください(笑)!
旅のヒント1:シントラのバスの周遊チケットを買おう!
ロシオ駅からシントラまでの切符は、シントラをくまなく観光する場合、鉄道とシントラでのバスが乗り降り自由になる「Train&Bus 1 day TravelCard」(€16.3)もしくは、シントラ駅から使えるシントラ周遊パス「Bihete Train & Bus」(€15)がお得で便利。
というのもシントラの交通はバス、もしくはタクシーがメインになりますが、バスの1区間は€3.9からと、ポルトガルの物価を考えると笑ってしまうほど高額。乗り降り自由のチケットがあれば、観光スポットを巡れば巡るほどお得になるシステムなのです。メインの世界遺産を4か所巡れば、元を取れます。
ただし、観光地に1~2か所しか行かない人や、シントラのホテルに泊まってゆっくりすごしながら、1日1か所ずつまわる余裕のある人、複数人数のグループ旅行の人は断然タクシーがおすすめ。ポルトガルのタクシーの値段が安く、2人ならタクシーの方が安く便利です。
旅のヒント2:歩きやすい靴で行くこと
この旅行記に記したシントラの1日観光コースは、世界遺産や歴史的建造物を全部見てまわることになります。しかもシントラは山道や石畳の坂道、階段もたくさんあるので、歩きやすいスニーカーなどで向かいましょう!
ロシオ駅からシントラへGO!
ロシオ駅からシントラ駅間はわずか40分ほど。リスボン在住の日本人はリスボンを東京だとすると、シントラは横浜感覚。とても近い世界遺産の上、おしゃれな街なので、デートで出かける人も多いのだそう。
シントラ駅舎はレンガを用いたマーブル調。とても可愛らしいカラーリングです。
オレンジと白のマーブル模様がかわいいシントラ駅・駅舎
1日でとことんまわるなら乗り降り自由のバス!
改札口から100mほど進んだ場所にシントラ観光に大活躍する便利な周遊バスがあります。 シントラ434番バス(シントラ宮殿・ペーナ宮殿・ムーアの城壁を周遊)と、シントラ435番バス(レガレイラ宮殿行き)です。「Bihete Train & Bus」はシントラ駅でも購入可能。
シントラで一番人気のある観光スポット、ぺーナ宮殿からまわることが1日がっつりシントラ観光を制するポイント。ただし前述通り、2名~の複数のグループの場合や、さほどがっつり巡らない、という人は1人頭の値段がタクシーの値段とあまり変わりません。状況に応じて使い分けましょう。
朝一で434のバスに乗りぺーナ宮殿に行く!これシントラ観光の必勝法
ぺーナ宮殿(Pena Palace)
434のバスでぺーナ宮殿に到着したら、バス停のすぐそばのチケットオフィスへ。ここでムーアの城跡との共通チケット€19.95を購入すると便利でお得。ただしリスボンの見どころや公共交通機関が無料になったり割引になる「リスボンカード」を購入している場合は、ロシオ駅からシントラのチケットは無料。バス内でBilhete Turístico Diárioという周遊パスを購入し、ここでカードを見せればぺーナ宮殿・ムーアの城跡の共通点が€11とかなりお得になります。
筆者は「リスボンカード」を持っておらず、おとなしく共通チケット€19.95を購入しました。
憧れのペーナ宮殿に入場します!
入口からペーナ宮殿までは500mの坂道を登りますが、宮殿内はとにかく広く、歩くので、上り坂である行きは宮殿までのバスのチケットを購入して乗車してください。この距離ではありえないほど高額(€3)だったので不満でしたが、筆者は乗りました!
ゲートから宮殿エントランスへのバスが€3
ペーナ宮殿はフェルディナント2世の命により、ドイツから優秀な建築家が集められ建てられました。しかもフェルディナント2世はあのドイツのノイシュヴァンシュタイン城を建てたルードヴィッヒ2世のいとこ。ペーナ宮殿の完成は1885年、イノバンシュタイン城は1886年に完成したことから、ノイシュヴァンシュタイン城はこのペーナ宮殿から数々のインスピレーションを受けたのではないかと言われています。
マヌエル・イスラム・ゴシック・ルネサンスなど、ありとあらゆる建築法を欲張って取り入れたため、キッチュでカワイイおもちゃの城のような外観と、細工の美しさ、ユニークで思わず微笑んでしまう彫刻などが目を引きます。
黄色のかわいい城の足元で、絡みつく蛇・・・
残念ながら室内は撮影禁止なのですが、外観の華々しさと比較すると居住性も良く、この城に住んだカルロス1世と王妃アメリアは素晴らしい眺望を眺めながら暮らしたそうです。ちなみにカルロス1世は1908年に暗殺されてしまいます。
ジェロニモス修道院に共通する海の生物を交えたマヌエル様式
まさに天空の城!
おとぎ話や絵本に出てくる城そのものペーナ宮殿。終盤にかけてすべての観光客が笑ってしまう彫刻が控えています。海神ポセイドンがもの凄い形相で気張っている姿です。あれっ?ポセイドンってこんなキャラクターでしたっけ?いずれにしても王族の住まいにしてはアバンギャルドすぎて、ポルトガルの王族がいかにモダンなセンスを楽しんでいたのかわかるような宮殿です。
世界遺産であり、荘厳な景色や美観を楽しませてくれつつ、笑させてもくれる、可愛らしい宮殿は隅々まで見てまわるべし!
ポセイドンが宮殿を持ち上げている・・・
所在地:Estrada da Pena, 2710-609 Sintra
開場時間:10時00分~18時00分(シーズンにより異なる)
アクセス:シントラ駅から434バスで20分
料金:ムーアの城跡との共通チケット€19.95
公式サイト:Palácio Nacional da Pena
ムーアの城跡(Castelo dos Mouros)
ムーアの城跡はペーナ宮殿見学後、徒歩で向かいます。入口を出たら左手に進み、バスで登ってきた道を10分弱ほど徒歩で下って行きます。多くの人が向かっている上に1本道なので、迷うことはないでしょう。料金所があるので共通券を購入し忘れた人は、こちらでムーアの城壁のチケットを購入します。
ポルトガルの万里の長城と言われるスリル満点の景色をご覧ください!位置的にペーナ宮殿を見上げる場所にあります。
こわっ!足元にはシントラ宮殿も見えます
確かに万里の長城っぽい
イギリスの詩人バイロンが「この世のエデン」と絶賛した美しい街シントラを一望するムーアの城跡は、7~8世紀にムーア人によって標高450メートルの山頂に築かれた城の跡地です。
ムーア人は日本人にはあまり知られない存在ですが、北アフリカに住むイスラム教徒のこと。ムーア人は711年にジブラルタル海峡を渡り、ここポルトガルとスペインのあるイベリア半島を占領しました。
高所恐怖所の人は行かない方が無難
この城は1147年にアフォンソ・エンリケス王に攻撃され、奪われた後、修復されましたが、今は城壁だけが続いています。しかし7~8世紀にこれだけの城壁を築いたムーア人の文化はかなり進んでいたのでしょう。リスボンのサンジョルジェ城も、ムーア人が築いた似たような城壁が残っているのをご存知ですか?こちらも山頂にあり、町を守る要塞のような役割でした。
山の斜面を這う蛇のように続く石垣は、圧巻です。ただし石塀を誤って超えてしまうと、山から転がり落ちる危険な城壁なので、くれぐれも遊び半分で身を乗り出したりしないように。オープン時間がシントラの観光スポットの中で一番早いので、ペーナ宮殿入場前に見学を終えておくのも一つの手。
所在地:2710-405 Sintra
開場時間:9:30〜20:00(3月〜10月)10:00〜18:00(11月〜2月)※入場は閉城1時間前まで 定休日:1/1、12/25
アクセス:シントラ駅から434バスで約20分
料金:ペーナ宮殿との共通チケット€19.95
公式サイト:Castelo dos Mouros
シントラ宮殿近くのカフェ・ド・パリス(Café de Paris)でランチ
ムーアの城跡の見学を終えたらMoorish Castleのバス停で434番バスに乗ります。ペーナ宮殿のバス停に戻り乗車する人もいますが、ペーナ宮殿前のバス停は人が大勢乗って来るので座れません。それどころか混みすぎて乗れない場合もあるので、ムーアの城跡最寄りのバス停をおすすめします。座れば疲労困憊した足にも優しい・・・。
筆者は次の見学場所であるシントラ宮殿(Sintra National Palace)のバス停で降りて、ランチにしました。ポルトガル伝統の装飾タイル「アズレージョ」が素敵な「カフェドパリス(Café de Paris)」は、テラスもあるので、晴れた日は王宮を見ながらランチというのも素敵。
古いホテルを改装した「Café de Paris」
メニューはポルトガルの名物料理ほか、気軽に食べられるパスタなど、とにかく豊富。筆者はポルトガルの名物料理がいただけるランチコースにしましたが、ワインのフリーフロー付で、昼からほろ酔い。
ポルトガルは知る人ぞ知るスープ大国。「ソッパ(スープ)がなければ始まらない!」という人も多いほど種類も豊富ですが、この日は魚の味を濃厚に感じるトマトベースのスープ。思わずおかわりしたくなる美味しさです。
コクのある魚介のスープが最高に美味しい!
そしてポルトガル名物炊き込みご飯「アロース・デ・パト(Arroz de Pato)」。アヒルの肉、ベーコン、ソーセージが入ったボリューム満点のひと皿でした。
スプーンが止まらない…ワインも止まらない
所在地:Praça da República 32, 2710-616 Sintra
営業時間:9:00~10:00
アクセス:シントラ宮殿から徒歩約3分
公式サイト:Café de Paris Sintra
シントラ国立宮殿(Palácio Nacional de Sintra)
シントラの街の中心部にどーんと建つ2つの棟が目印。ポルトガル国内において最も保存状態の良い中世の宮殿「シントラ国立宮殿 (Palácio Nacional de Sintra)」は、15世紀~19世紀後半にかけてポルトガルの王族が住んでいた宮殿です。
ヨーロッパの宮殿らしからぬオリエンタルな雰囲気
2つのタワーやオレンジ色の屋根がどこか東南アジアの寺院にも似通うオリエンタルな雰囲気ですが、窓枠はレースを思わせる繊細かつ優美なマヌエル様式。
シントラの宮殿は様々な建築様式が入り混じる不思議な建物が多い
内部はそれぞれの部屋に合わせた天井画が美しいのですが、ポルトガル国内およびヨーロッパでよく見かけるフレスコ画と異なり、動物が占領しています。ここは客間だった「白鳥の間」。
また「鵲の間」というかなりユニークな部屋があり、そこの天井には様々な表情をした鵲とバラの花が描かれています。この部屋に残る思わず笑える伝説を紹介します。
「ジョアン1世が女官にキスをしているところを王妃に見られてしまいます。王妃は誰にも言っていない、と言いますが、噂が女官たちの間で広まってしまい、王は「おしゃべり」の意味を持つ鵲を部屋の装飾に用います。また、王妃の実家ランカスター家の紋章である紅バラを描かせました」
・・・というもの。直接的に言わず、間接的に抗議するジョアン1世の行動が面白いですね。まあ、元は自分が悪いのですが。
外国人の賓客もよく招かれていた「白鳥の間」
住所:Largo Rainha Dona Amelia, 2710-616 Sintra
開場時間:9:30~19:00
定休日:1月1日・12月25日
アクセス:シントラ駅 から徒歩10分。
料金:€10
レガレイラ宮殿(Regaleira palace)
さあ、最後にしてとにかく不気味なのに楽しいと評判で、筆者もわくわくしていたレガレイラ宮殿に向かいますよ!シントラ宮殿そばのSintra National Palaceのバス停から435番バスで向かいいます。筆者はオフシーズンに行ったので問題ありませんでしたが、トップシーズンである6月~10月は、渋滞するとバスは定時に来ず、かなり待つことになるようです。
そんな時には約20分歩きますが徒歩で。もしくは潔くタクシーで!
少し不気味な雰囲気のある宮殿
12世紀にポルトガルの王族の別邸として建てられたレガレイラ宮殿ですが「レガレイラ」という宮殿名は1840年にこの宮殿を買い取ったレガレイラ男爵の名からついたとされています。ゴシック様式、ルネサンス様式、マヌエル様式など様々な建築様式が見られるレガレイラ宮殿。19世紀にはブラジル人の手に渡り大幅に改修され、かなり奇抜な建築物と庭園を合わせた宮殿となりました。
日本でもテレビ番組で紹介されるほど、不思議な造り。地下へと続く階段、洞窟、飛び石のある池など、アートと見て考える時間を与えてくれるようにも思えるし、単に「遊んでいってね」と言われているような不思議な場所にも思えます。「Regaleira palace」のバス停を降り、坂道を少し登るとエントランスがあり、チケット売り場があるのでチケットを購入(€6)しました。
とにかく楽しい!・・・こんな世界遺産があって良いのでしょうか?と、問いたくなる面白さ。「また遊びに行きたい」という変な言葉で誉め立たえたくなります。
「天空の城ラピュタ」のような荘厳な雰囲気
大の大人も飛び石をぴょんぴょん渡って散策せねばなりません
所在地:Quinta da Regaleira, 2710-567 Sintra
開場時間:9:30~20:00(最終入場19:30)
アクセス:シントラ宮殿から徒歩20分。またはシントラ宮殿最寄りバス停Sintra National Palaceより435番バスで5分
料金:€6
公式サイト:Regaleira palace
シントラのかわいい街を散策
いやー・・・シントラの世界遺産を歩きまくりました。足はガクガクですが大変な達成感と、シントラのという街の世界遺産のユニークさに魅了され、また戻って来たいと思った自分がいます。
もう一つ。あまり日本人には知られていませんが、世界遺産として登録される前から、シントラは高原リゾート地としてポルトガル王族の方々、ヨーロッパの方々に大人気の場所でもありました。今度は泊まってゆっくりと街そのものを楽しみたいと思いましたね。
そのための予習に最後の力を振り絞って街を歩きます。
かわいいとしか言いようがない小路に集う店たち
カメラを向けたら気取ってくれたお兄さん。街中がランウェイみたい
石畳の小路が丘に沿って続き、起伏が激しいながらも可愛らしい街並みを形成しています。
大切な人へのお土産にしたい小物やポルトガルが誇る装飾タイル「アズレージョ」のお店、カフェやレストランが軒を連ねます。中でもこの街で最も有名なカフェ&パティスリーがピリキータ(Piriquita)。シントラの伝統菓子「ケイジャータ」の人気店です。「ケイジャータ」は13世紀から作られていた歴史の古いチーズを使ったお菓子で、ポルトガル全土で食べられています。特に「シントラのケイジャータはとても美味しい」と評判なので、必ず食べておきたい味。
チーズの味を期待して食べると「どこに?」と思うほどチーズ感がなく、チーズ好きな人は物足りないかな?甘くやわらかな味わいのみが印象深く残るお菓子です。
さて、世界遺産の歴史的建造物巡りの旅の終了を祝って、あまーいお菓子と、ポルトガルのコクある大人味のカフェ(日本でいうエスプレッソ)で乾杯して、旅を終わらせましょう。ピリキータの本店は常に混雑していますが、すぐ近くにある(徒歩30秒)2号店はまったく混んでおらず、イートインするならそちらがおすすめ。
ポルトガルの伝統的なお菓子が並ぶ
日本だと人形焼みたいなイメージ?素朴な味わい
所在地:R. Padarias 1, 2710-533 Sintra
営業時間:9:00~20:00
アクセス:シントラ宮殿から徒歩約5分
料金:ケイジャータ1つ€1.8
公式サイト:Piriquita
シントラ1日観光マップ
西の果ての夕日が見たい人はシントラからロカ岬に行こう!
シントラからはユーラシア大陸最西端の岬「ロカ岬」へのアクセスも簡単。まさに「西の果て」の夕日にを見るべく、毎日多くの観光客がその絶景と感動を体感すべく集まるので、体力に自信がある人、シントラに泊まる人はロカ岬にも行ってみましょう。
詳しい行き方や攻略法はこちらの記事をご覧ください。
西の果てに沈む夕日は感動間違いなし!
リスボンからたった40分!驚きの宮殿が待つ世界遺産・シントラへ行こう!
奇抜かつ芸術的、カラフルでおとぎ話の中の中世ヨーロッパ時代の街並みがそのまま残るシントラ。
ポルトガルの首都・リスボンからはたった40分ということもあり、リスボン滞在者にはとても行きやすい場所です。
この不思議な世界観を体感すべく、出かけてみましょう。