ポルトガル旅行記・ポルトでポートワインの人気ワイナリー巡り
ポルトガルを代表するワイン「ポートワイン」はポルト独自の名産品。発酵中にブランデーを加え、ぶどうの糖分をそのまま残すため甘く、デザートワインとして飲まれます。今回はポルトガル2大ポートワインのーつで世界的ブランド「サンデマン(SANDEMAN)」のワイナリーを訪問。試飲してきました。人気ワイナリーも紹介します!
ポルトガル第2の都市・ポルトの名産品「ポートワイン」とは?
ポルトガルを代表するワインであり、ポルトガル発祥の地であるポルトの名産品「ポートワイン」。とても甘く、世界中の人々がデザートワインとして楽しんでいます。甘いワインが苦手な筆者ですが、やはり本場の地で飲む味は違うのではないか?そんな思いからポルトのポートワインのワイナリーに行ってみることにしました。
しかしひと言でポートワインと言っても、意外に知らないことが多いものです。
ポルトだけがポートワインの産地なの?
ポルトの街を流れるドウロ川の上流にはぶどう畑が広がり、このぶどう畑は「アルト・ドウロ・ワイン生産地域(Alto Douro Wine Region)」という世界遺産。付近にある古代遺跡からは3000年前から4000年前のぶどうの種が発見されていて、この地で作られたワインの本当の歴史は、誰にも分らないのではないか?というほど、世界にも類がない歴史古きワイン畑なのです。
2000年以上前のローマ帝国時代、アルト・ドウロ・ワイン生産地域でのワインづくりがとても盛んになりますが、民族大移動による衰退という辛い時代もありました。
ポートワインが作られるようになったのは 14世紀半ば。そしてこのポートワインはこのアルト・ドウロ・ワイン生産地域のぶどうから作られたものでなければ「ポートワイン」と名乗ることができないのです。
甘く親しみやすい味わいとは裏腹に、由緒正しきワインなのですぞ!
ポートワインの故郷・世界遺産「Alto Douro Wine Region」
ポートワインはなぜ甘いの?
ポートワインはスペインのシェリー酒と同じ「酒精強化ワイン」という扱いです。甘く、この漢字の通りとてもアルコール度数が高い!それはなぜなのでしょうか。作り方に秘密があります。
ワインを樽で発酵する過程で、アルコール度数が77度もあるブランデーを加えます。そのことで糖分がアルコールに変わらず、そのまま残り、濃厚で甘く、コクのある味に仕上がると共に、ブランデーのアルコールが加わるため、平均で20~22度という高アルコールワインとして仕上がるのです。
ブランデーを入れるタイミングも大事!
ポートワインはなぜ有名になったの?
ポートワインの名前は、ドウロ川の上流にあるぶどう畑で収穫したぶどうを、下流のポルトの街で醸造し出荷していたため、「Porto Wine(ポルトワイン)」としていましたが、イギリスに輸出された際、英語のport(港)を表す言葉とポルトガル語のPorto(港)が同じ意味だったため「ポートワイン」と名が付きました。そして甘くアルコール度数の高いワインを気に入ったイギリスの人びとに、その後も大量に輸出され、広く名が知られていきます。
ポルトの街を見渡しながらポートワインを飲む!これ最高!
世界2大ポートワインのワイナリーへ。有名ワイナリーに行ってみよう
ポルトの中心部にあるドウロ川を沿いには、ポートワインのワイナリーが軒を連ね、見学や試飲ができる場所がたくさんあります。
ドウロ川の向こうが世界遺産・歴史地区。手前がワイナリーの多いエリア
ポルトワインには世界的に有名な「2大ポルトワイン」があります。イタリアの「バローロ」や、フランスのシャンパーニュの中で最も著名な「ドン・ペリニヨン」と同様、同じポートワインの中でも世界にその名を轟かすブランドがあるわけですね。
もちろん「小さなワイナリーの方が美味しい」とか「お気に入りの味のポルトワインのワイナリーがある」というポルトガル人も多数いますが、初めてのポルトワインのワイナリー巡りであれば、帰国後「世界的に有名なポルトワインのワイナリーに行った」と自慢したい(笑)。
ということで筆者は・・・ポルトの街でひときわ目を引く不気味な人のワイナリーに引き寄せられていくのでした。
誰だお前は!?
ポートワインを代表するSANEDEMAN(サンデマン)見学・試飲ツアーに参加!
謎の男の正体!
ポルトの街に初めて来た人なら必ず「あの怪しい看板は何?」と思ってしまうポートワイン「サンデマン」のワイナリー。 背後にはポルトの街が見渡せるビューポイント行きのかわいい「ガイアロープウェイ」が通り、目の前にはおしゃれなテラス席でポートワインをいただける素敵な環境。
でもやっぱり恐い、トレードマーク
内部に入ると、やはり謎の帽子とマントの男が出迎えてくれます。しかも、あちらこちらにいすぎですが、やってくる観光客の心理をわかっているかのように、エントランスでこのサンデマンのキャラクターについて解説してくれます。
怪しい黒マント男にびびる
彼の名は「ドン」。「サンデマン」は1790年に設立されたポルトガルのポートワインと、スペインのシェリーを販売する老舗のメーカー。帽子はスペインのもので、マントはポルトガルの世界遺産でもある世界一古い大学の一つ「コインブラ大学」の学生が正式の場で身に着ける制服。そう、「ポルトガルとスペインのかっこいい男」の象徴なのです。
サンデマンはいつもワイングラスを掲げ、うっとりしています。2か国のかっこいい男の象徴が、ワインに陶酔する姿を考えると、なんとなくあやしさが薄れてきました。
コインブラ大学の男子学生。ドン様のマントはここからきている
不気味なんて言わないで!僕は2か国のかっこいい男の象徴なのだ!
「ドン様」スタイルの美女同伴でワイナリー巡り
そこに現れたのはドン様スタイルの美女!
ドン様ファミリーの登場か?
サンデマンのワイナリー見学に同行してくれるガイドさんは、みなドン様の格好をしているそうで、はぐれて戻ってみたら他のドン様率いるグループに紛れ込んでしまいそう。自分たちのドン様にしっかりとついていきましょう。この後、彼女と一緒に、圧巻の酒蔵や歴史コーナーを巡って行きます。
ワイン樽が並ぶ光景は、もはやアート!
温度管理され、熟成度によってワインの樽や場所が変わる
ここにもドン様が!
ポートワインは、まだ糖分が残っている発酵途中にアルコール度数77度のブランデーを加え、酵母の働きを止めることが特徴。樽の様子もしっかりと確認して、最高のポートワインを造っていきます。 アルコール度数は20度前後と一般的なワインよりはるかに高め。そのため保存が長くでき、長く熟成すればするほど味がまろやかに。一般的なものは3年間、長いものは50年近く樽の中で熟成するのだとか!そうすることで、香りが芳醇に、そしてまろやかな味わいになっていくのです。
自分の生まれるはるか前から醸造されている樽もある
日本語の動画も用意!細やかなサンデマンワイナリー
動画で「サンデマン」のポートワインや、ポートワインの歴史について詳しく説明してくれるコーナーもあります。非常に驚いたのですが筆者が見た動画は、なんと日本語!
つまりこれって・・・ワイナリー見学の受付をする際、日本人なら日本語、アメリカ人なら英語・・・とと、いちいち変えてくれるということですよね。しかも日本語のガイドがある観光スポットって、世界的にも超一級の場所じゃなですか!まさかポルトガルの第2の都市、ポルトで日本語の動画を流してくれるとは、思ってもみませんでした。
いいじゃん!サンデマン!⇒妙なところでファンになる人
ポルトで見る日本語の字幕
動画では空撮で、世界遺産でありポートワインの故郷「アルト・ドウロ・ワイン生産地域 (Alto Douro Wine Region)」のぶどう畑を紹介してくれるのですが、この動画を見ると、ポルトガルに来たらこのぶどう畑から旅するようなワイン巡りの旅をしたくなります。
とにかく素晴らしい段々畑!そしてこのぶどう畑はポートワインのぶどうだけではなく、ポルトガルの様々なワインに使われるぶどうを栽培しているそうなので、あなたもきっと、ぶどう畑のそばで様々な種類のワインを飲みたくなるはず。
芸術的にまで美しいアルト・ドウロ・ワイン生産地域
ぶどう畑の構造は模型で見ることができます。2000年前からこの畑でぶどうを作り、ワインを作っていたポルトガル。ワイン党から言わせると、神レベルのすごい国。
日本の段々畑にも似た素晴らしい光景
お待ちかねの試飲タイム!
さて、ワイナリーと言えば試飲!むしろ試飲にかける期待は80%はあるはず。
ホワイト・レッド・ロゼ
当たり前ですが、ポートワインなのでどのワインも甘味が強い!通常のワインが好きな人は「ちょっと甘すぎるかな・・・」と思う人も多いようです。しかし、逆にワインが苦手だった人がポートワインの美味しさにハマってしまい、ボトル買いしていくのだそう。
ポートワインは赤の方が有名ですが、白は安価な上に、すっきりとした後味。キンキンに冷やして寝酒にしても良さそう。赤はクリーム状のチーズ、ロゼはアイスクリームとの相性がいいとこことで、デザートワインとしてのポートワインの存在を学習させていただきました。
お土産に・・・ドン様のキャラクターグッズは狂気度がマックス
お土産コーナーはワインはもちろん、サンデマンのキャラクター、ドン様の商品も。どう見ても日本の漫画の影響を受けたと思うドン様美形バージョンTシャツは、なかなかイカれ・・・いや、いかしていました。ドン様が生まれたのはなんと1900年ごろ!ポートワインの有名ブランドながら、100年以上前にキャラクタービジネスに目をつけ、強烈なキャラクターを作り出したポートワインブランド。さすがです!
そのうちドン様だけが独り歩きしてしまいそうな個性の強さです。
美形バージョンのドン様
所在地:Largo Miguel Bombarda 3, Vila Nova de Gaia
アクセス:メトロ「Jardim do Morro」駅から徒歩10分
営業時間:10:00~12:30・14:00~18:00(11~3月:9:30~12:30・14:00~17:30)
料金:大人€14(ガイドツアーとワイン試飲※試飲する種類の量により値段が変わる)試飲は16歳以上
定休日:無休
公式サイト:https://www.sandeman.com
ポルト人気有名ポートワインワイナリーを紹介!
他にもポルトにはポートワインの有名ワイナリーがいっぱい!その中でも特に人気があるワイナリーをピックアップしました。 ポルト旅行ではぜひ、あま~いポルトワインの虜になってくださいね!
カレム(CALEM)
ポルトガル2大ポートワインメーカーのひとつ。そして、カレムは有名ポートワインブランドでは唯一のポルトガル企業です。開業から150年以上、地元ポルトガルの資本だけで経営しているため、当然ながらポルトの人にも愛されています。
サンデマン同様、ドウロ川沿いの目立つ位置にある
所在地:Av. de Diogo Leite 344, 4400-111 Vila Nova de Gaia,
アクセス:メトロ「Jardim do Morro」駅から徒歩7分
営業時間:10:00~19:00(11~4月は~18:00)
料金:大人€15(ガイドツアーとワイン試飲※試飲する種類の量により値段が変わる)試飲は16歳以上
定休日:無休
公式サイト:https://tour.calem.pt
Taylor(テイラー)
小高い丘の頂上に立ち、ドウロ川沿いのワイナリーとは異なり、アクセスが少々大変です。そのかわり高所にある分、ガーデンテラスなどから素晴らしい景色が楽しめるワイナリー。
味が良いと評判のレストランが併設されているので、ランチがてら行くのもおすすめ。ポルトガルはまだまだ日本人観光客が少ないエリアで、日本語対応ができる施設やスポットが非常に少ない国ですが、このワイナリーでは日本語のオーディオガイドあり!
英語だと細かい部分までわからない・・・という人も安心してポートワインについて学べます。
お洒落なレストランと高台の景色が楽しめます
1692創業。3世紀以上の歴史を誇る老舗で、醸造10年以上のビンテージポートワイン作りに定評があります。ショップにはお土産用に割れないプラスチックボトルに入れられたポートワインも販売。どこまでも国外の旅人に優しい!ミニボトルなら、ばらまき土産にも良いですね。
ミニボトルはお土産にぴったり!
所在地:Rua do Choupelo nº 250, 4400-088 Vila Nova de Gaia
アクセス:「General Torres駅」から徒歩13
営業時間:ワインセラー10:00~18:00 テイスティングルーム10:00~ 19:30 レストラン12:00~ 15:00・19:00~22:00
料金:€15(見学・音声ガイド・2種類のポートワイン試飲付)
定休日:無休
公式サイト:https://www.taylor.pt
Croft(クロフト)
観光地の要素が強いポートワインのワイナリーと比較すると、地元の人が「穴場」と推すワイナリー。
しかしドウロ川沿いから坂を上り、たどり着くため結構歩きます。ガイド付き試飲も他の施設よりかなり安いのも嬉しいポイント!
1588年設立で、現存するポートワインブランド最古の企業。ワイナリーの重厚感ある造りを見れば、おのずとその存在感で「ただものではない!」と気付かせてくれます。世界で初めてポートワイン ロゼを生み出した、革新的なワインブランドです。
所在地:R. do Barão de Forrester 412, 4400-034 Vila Nova de Gaia
アクセス:「General Torres駅」から徒歩7分
営業時間:10:00~18:00
料金:€10(ポートワイン3種の飲付き)
定休日:無休
公式サイト:http://www.croftport.com/en/
ポルト人気ポートワインワイナリーマップ
ポルトガル第2の都市ポルトは街自体が世界遺産!びっくりするほど安いツアーも!
ポルトガルのワインの歴史は2000年以上。4000年近く前のぶどうの種まで見つかるという世界遺産「アルト・ドウロ・ワイン生産地域」の存在から言っても、フランスやイタリアのワインよりも、ポルトガルワインの方がはるかに歴史があることがわかります。
今回紹介したポートワインだけではなく、美味しいワインがたくさんあるので、ワインを飲みにポルトガルに行きましょう。
ポルトガルの一人あたりのワイン消費量は世界3位!ディナーの席でも、ランチの席でも、いえ、朝食の席でもワインを飲む人を見かけます。どんなに貧しい時代にも、ワインだけはやめなかったというポルトガルの人たちに混ざって飲むワインは格別に美味しいですよ!
ポートワインのワイナリーがたくさんあるポルトは、ポルトガル第2の都市。ポルトだけに行く人はもちろん、首都リスボンとの2か所をめぐり、電車で移動する旅もいいものです。ポルトガルの国土は日本の4分の1なので、電車移動が簡単にできる、というのも魅力です。
しかもトラベル・スタンダード・ジャパンなら、ポルトを含むポルトガルのツアーがなんと74000円から!冗談みたいに安いのです。ヨーロッパの中では物価も安いので、遊びも食も、そしてお酒を飲むことも、安心して楽しめますよ!